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近年燃料電池開発が活発化してきており、すぐそこの2005年までには、各社1KWもしくは5KW級の燃料電池を実用化する計画を持っている。
表1:固体高分子タイプ燃料電池開発計画

燃料電池普及に向けて解決すべき数々の課題はあるものの、今後、価格の低下とともに、燃料電池市場が拡大すると想定されるが、燃料電池市場拡大は、新たな住宅向けのサービス事業を創出するきっかけとなる。今回は、住宅用燃料電池市場の拡大により新たに創出されるビジネスモデル、HOSCO(Home Service Company)について紹介する。
(ESP/BOSCOの家庭への類似ビジネスの展開)
既にESCO(Energy Service Company)は市民権を得て、大きな市場に成長しつつあるが、本年1月のF&Iマンスリーで紹介したように、今後関連サービスを統合した形のESP更にはBOSCOといったビジネスの拡大が期待されている。 これらサービスは、ビジネスセクターを対象としているが、一般家庭向けにも類似のサービスが出現することは、当然考えられる。 家庭版のESPやBOSCOをここでは、HOSCOと呼ぶ。 当該市場のイメージとしては、生活に必要などの家庭にも共通する基本ニーズ、たとえば電力・ガス等のエネルギー、テレビ・電話等の通信、掃除・洗濯等の家事、防犯・防災等のセキュリティ、等のサービスおよび関連商品提供者を言う。 日本の家計最終消費支出が200兆円とか300兆円というレベルであるので、この市場の市場規模は極めて大きい。 しかし、HOSCOの問題は、ビジネスセクターを対象とするESPやESCOと比べ、一ヶ所当りの売上高は格段に低く、数多くの顧客を対象としなければならず、また顧客のサービス提供企業へのローヤルティは低く、当市場は一筋縄ではいかない大変難しい市場でもある。一方で顧客ニーズは大変似通っており、効率的な顧客アプローチ法を見出せば、大変魅力的な市場でもある。
(ダスキンの展開)
この市場を成功裡に攻略してきた企業に、ダスキンがある。1963年の設立以来40年という歳月を掛け、一般家庭向けに掃除という切り口で、一つ一つのサービス・製品の単価は低く、アプローチの難しい膨大な数の顧客への販売を、フランチャイズビジネスを核に展開し、現在全国に約1万店のフランチャイズ加盟店と売上5,000億円(フランチャイズ加盟店合計売上高)を達成している。
図1:ダスキンの展開

ダスキンの場合は、40年を掛け地道にフランチャイズ加盟店網を構築してきた訳だが、現在家庭向けの市場を新たに攻略しようとすれば、常識的に数年間で最低でも数十億円の事業規模を達成する必要があるが、ダスキンのような既に事業の基盤を固めた企業が競合として存在するため、この市場への参入には強力な道具立てが必要である。 この道具立てが、まさに住宅用燃料電池である。
(燃料電池を起点とするHOSCO事業の展開)
なぜなら、
- 既に言うまでも無く電力、ガス等の家庭用エネルギー市場は巨大市場として確立しており、燃料電池はその総合効率の高さから、その一部を間違い無く切り取ることができる。 市場が直ぐ手に入るという面では、リスクは小さい。
図2:燃料電池を起点とするHOSCO事業の展開

- 燃料電池は安定稼動とサービスコストの低減のために、遠隔監視が行なわれることになり、家庭のエネルギー使用状況が中央において入手できるようになる。
- 燃料電池は顧客の省エネルギーニーズに対応する商品であり、当該顧客は家庭における他の省エネルギーニーズを持ち、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)のニーズがあり、一緒に利用されるということであれば、両者は一体として運転することができる。
- HEMSには端末として温度センサーなどが使用されるが、防犯センサーや監視カメラも対象とすることは容易である。 また、セキュリティサービの提供企業は、エネルギーの使用状況と防犯センサーの情報を相乗的に利用することにより、警備員の誤出動等を回避でき警備員の利用を最適化することができる。
- 顧客のエネルギーの使用状況が以上より把握できれば、顧客のエネルギー利用上の問題点が数値として他との比較の中で明確に把握でき、省エネ手段の提案ができる。もしくは、新たな機器購入により追加のエネルギーコストがどの程度かかるかも事前にシミュレーションできる。 このように、蓄積データにより明確にROI(Return On Investment)を提示することができ、関連設備・サービスの販売の可能性を大変高くすることができる。
- 以上のインフラを利用し、介護の必要な寝たきり老人等の生活、健康状態をモニターすることにより、親族のつきっきりの必要性を低減させたり、必要なときのみ介護者を派遣することによりコスト削減ができる。
- 加えて燃料電池利用の顧客層は、合理的価値観や環境意識を持ち、ある程度の収入があり、魅力的な市場セグメントであると想定される。 また、サービスの利用状況からもより、詳細な市場のセグメンテーションが可能をなり、様々なサービス・商品の有力なマーケティング手段となりえる。 例えば、環境意識の高さから、グリーンファンドなどの金融商品の適当な対象となる。また、この市場セグメントは、信用面でも高い層と想定され、信用リスクも低い。
以上のように、燃料電池に付随して、様々なビジネス機会が創出されるのである。
表2:具体的事業内容

(ハードビジネスからサービス・消耗品ビジネスへの転換)
一般的に、ハードビジネスは利益率は低くなる傾向にあり、一方でサービス・消耗品の利益率は相対的に高い傾向にある。 これは、ハードウェアは購入時には、通常一度に出費される金額が大きい傾向があるため、他のオプションの競争となり、また値下げ交渉が行なわれる一方で、買った後に必要となるサービスや消耗品はもはや競争もなく、また比較的価格が小さいため、利益が確保し易いという背景がある。 従って、従来ハードウェアーの販売を主体としてきた企業(燃料電池メーカー等)にとって、新たな安定的な収入源の確保にもつながる。
(参入潜在企業)
それでは、このHOSCO市場の参入潜在企業にはどのような企業が存在するのであろうか。 上でも述べたように、当然燃料電池メーカーも単に燃料電池を販売するだけではなく、運転監視機能を利用してHOSCOビジネスを展開することはできる。 また、電力、ガス、灯油等のエネルギー企業も、関連の事業として本事業を展開することは自然である。 本事業においては、単にITを利用した運転監視機能のみならず、実際の保守サービス員の必要もあり、これらの人材を抱えるNTTなども候補企業となるのではないか。既にNTTでは従来抱えていた人員を利用して、食品廃棄物のリサイクル機器などのビジネスも手掛けている。 その他、これまでビジネスセクターを対象にビジネスを展開してきた様々な設備エンジニアリング会社やESCOも、既存のケーパビリティを活用しこの分野への参入のメリットも大きい。 その他、HEMSを販売している機器メーカーや、運転監視、保守サービス員を持つ自動販売機メーカーなども対象となると思われる。
表3:参入潜在企業

(事業の前提)
以上のように様々な業種の参入が考えられるが、顧客にとってHOSCOのサービスを利用する上での大きな心配があり、生活の状況が全て把握されるということである。その為に、当事業においては高い信用力を必要とされ、従って、名もない企業での成功は困難であり、既に社会的に信用のある企業による提供が必要とされる。
(HOSCO事業の社会全般への意味合い)
事業としても大きな規模の事業へ拡大する可能性を秘め、極めて魅力的な事業であるが、日本の社会全般への貢献も大きい。 省エネルギーを通じた地球温暖化ガス低減やエネルギーセキュリティの向上は当然のこと、セキュリティサービスをより安価に提供できることから、犯罪の低下、犯人検挙率の向上や火災発生の低減への貢献するであろうし、また本インフラを利用すると介護のための社会コストを大幅に低減できると思われ、介護老人を抱える家庭の負担の低減や介護のための社会コストの低減も実現できる。
図3:HOSCOの社会への貢献

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